2011年3月8日火曜日

リード&フォロー(2)女性編

全くの初心者も多く参加する、あるパーティでのこと。

ためらいがちな女性を誘い出し、ベーシックを教える一人の男性がいた。
私の目の前で行われている、その光景を見るとは無しに眺めていると、見本を見せる男性のステップは全く加重移動がなされていなかった。

ダンス用語で、体重を載せて足を動かすことを「ステップ」と言い、体重を載せずに足先だけをちょんと出すのを「タップ」と言う。

ジャズダンスでは最も初期に習う、この違い。
社交ダンスやアルゼンチンタンゴなどのペアダンスでも体重を載せるか載せないかの違いは、リード&フォローの根幹に関わる事柄なので明確に教わる。
しかし残念なことに(と言うより、信じられないことに)、サルサではこの違いを踏まえた上でベーシックステップを教えるレッスンに出会ったことは滅多に無い。

重心を真ん中に置いたままで足だけを前後左右に動かして踊ると、確かに楽である。
一人で踊る類のダンスなら好きに踊れば結構なのだが、ペアダンスでは相手を気遣うことなく自分勝手なステップをするのはご法度である。

ほとんどの人は、相手が予測不可能な無秩序なステップさえしなければいいと考えるかもしれないが、この加重があるか無いかの違いはリード&フォローのしやすさだけに留まらず、組んだ時の楽しさや気持ち良さにも影響する大問題なのである。

まず、女性に関して車に喩えて説明しよう。

止まった車(女性)に乗った人(男性)がハンドルをいくら回しても、車の向きは変わらない。

車を思った通りに操るには、車が動いていることが大前提なのである。
この動いている状態が、体重を交互に載せ換えてステップすることなのだ。

反対に、体重を中心に置いたまま足先だけを動かすのは、ギアをニュートラルにしたままのアイドリング状態と言える。
車の向きが変わらないばかりか、タイヤを左右に振るだけで車体は全く移動していない。
車体(上半身)が移動しないと良質なベーシックにはならないのだ。

ベーシックを踏む女性の中には上半身を残したままお尻を横振りする人がよくいる。
これこそ、タイヤだけを振っている状態。

骨盤を横にずらすと、掛けるべき荷重が逃げてしまってステップ足の重みが減ってしまうのだ。

振るべき身体パーツはお尻ではなく、リブ(上半身)である。

リブが“横8の字”を描いてこそ滑らかな加重移動が可能になる。
骨盤は横に振るのではなく、縦方向にローリングさせないと加重ができないだけでなく、背骨(体軸)も横ぶれを起こしたり、傾いたりする。

このようにお尻の動きは単なる飾りではなく、リード&フォローに欠かせない大切なステップ要素なのである。

0 件のコメント:

コメントを投稿